TOCFL(華語文能力測験)の勉強法とレベルの目安について、公式の案内にあることをまとめました。内容は、日本でTOCFLを実施・運営しているTOCFL日本事務局(株式会社イーオン 中国語事業本部)と、台湾の主催団体(國家華語測驗推動工作委員會)のサイトによるものです。公式が勧めていることは、誰が言っているかを付けて書いています。この記事は、日本の実施団体が申し込みを受け付けている、聴解・読解の試験について書いています。主催団体のサイトは、おもに中国語(繁体字)で書かれています。合格点・受験料・試験の構成・模擬試験の入手先はTOCFLとはのページ、試験日と申込期間はTOCFLの日程のページ、申し込みと当日の流れはTOCFLを初めて受ける人への記事にまとめています。
試験で問われる力
TOCFL日本事務局の「TOCFLについて」では、この試験の目的は、台湾華語の学習者が日常生活で言語を使う力を測ることだと説明しています。特定の教材に基づいた出題はしていません。試験は日常生活のさまざまな場面を想定していて、題材は実生活に近く、多元的だとされています。
- 聴解:日常会話、広告、ラジオ、公告、スピーチ、天気予報などが出題のもとになっています。
- 読解:広告、公告、手紙、メモ、天気予報などが出題のもとになっています。
- 題材の領域:出題される短文は、文学、科学、芸術、天文、歴史など、異なる領域をテーマにしています。
主催団体は、聴解・読解の「能力描述」のページで、Band ごとに力を見る着眼点を次のように説明しています。
- Band A(入門基礎級):日常生活での一般的で簡単なコミュニケーションの力。
- Band B(進階高階級):まとまった言語(段落)を理解・分析する力。
- Band C(流利精通級):言語を使う範囲の広さと、熟達の度合い。
問題の種類
- Band A の聴解:図の説明、問答の理解、対話の理解(絵や写真の選択肢)、対話(文章の選択肢)の4つのパートです。第1〜3部は3択、第4部は4択です。
- Band A の読解:単文の理解、図の説明、選択穴埋め、段落の完成、読解の5種類があります。
- Band B・Band C の聴解:対話と段落の2つのパートで、4択です。
- Band B・Band C の読解:選択穴埋めと、文章の理解の2つのパートで、4択です。
レベルの目安
学習時間と語彙の目安
主催団体の聴解・読解のページ(「適用對象」)には、レベルごとの建議学時(学習時間)と建議語彙量の表があります。学習時間は、台湾など中国語圏で学ぶ場合と、ほかの国で学ぶ場合に分かれています。
- 入門級(Level 1):中国語圏で120〜240時間、ほかの国で240〜480時間。主催団体の表の建議詞彙量は800。
- 基礎級(Level 2):中国語圏で240〜360時間、ほかの国で480〜720時間。主催団体の表の建議詞彙量は1,200。
- 進階級(Level 3):中国語圏で360〜480時間、ほかの国で720〜960時間。主催団体の表の建議詞彙量は2,500。
- 高階級(Level 4):中国語圏で480〜960時間、ほかの国で960〜1,920時間。主催団体の表の建議詞彙量は5,000。
- 流利級(Level 5):中国語圏で960〜1,920時間、ほかの国で1,920〜3,840時間。主催団体の表の建議詞彙量は8,000(流利精通級の値)。
- 精通級(Level 6):中国語圏で1,920時間以上、ほかの国で3,840時間以上。
主催団体は、語学の学習には個人の能力、学習内容の密度、学習が連続しているか、教室の外に中国語の環境があるかなどが関わるので、この学習時間は参考にすぎない、と注記しています。TOCFL日本事務局の「TOCFLについて」にも、Band ごとの学習時間の目安が載っています(Band A は中国語圏で120〜360時間、ほかの国で240〜720時間など)。語彙の目安も載っていて、Band A は500〜1,000語、Band B は2,000〜5,000語、Band C は8,000語です。Band A では、上の主催団体の表の値(800・1,200)と合いません。
各レベルでできること
TOCFL日本事務局の「TOCFLについて」には、聴解と読解それぞれの「判断レベル」の説明があります。要約すると、次のとおりです。
- 入門級(Level 1):聴解は、相手がゆっくりはっきり話し、助けてくれる前提で、基本的な短い言葉や常用語がわかる。読解は、視覚的な補助や、くり返し読むことを前提に、基本的な数字・語彙と簡単な短い文章がわかる。
- 基礎級(Level 2):聴解は、ゆっくりはっきりした口調なら、簡単な話のポイントがつかめる。読解は、日常生活や仕事で頻度の高い語彙の短い文章がわかる。
- 進階級(Level 3):聴解は、なじみのある話題で、話し手の発音が標準的ではっきりしていれば、大意と重要な細部がわかる。読解は、平易で直接的な文章なら、興味のあるテーマや自分の専門に関係する文章がわかる。
- 高階級(Level 4):聴解は、専門的な議論を含む標準語の対話でも、抽象的かどうかにかかわらず要点がつかめる。読解は、さまざまな目的の文書を、持っている知識の範囲で推測しながら読める。常用でない慣用語句には弱い面がある。
- 流利級(Level 5):聴解は、抽象的・複雑なテーマや、構造のはっきりしない話でもわかる。ただし、話し手の発音がはっきりしない時は、細部の確認が必要になることがある、とされています。読解は、難しい箇所を読み直せるなら、専門外でも長く複雑な文書の細部までわかる。
- 精通級(Level 6):聴解は、まれな専門用語を含む講話・放送・報告の内容がわかる。読解は、抽象的・複雑な構造や、かなり口語的な作品を含む、ほぼすべての形式の文書がわかる。
公式の語彙表と基準
- 華語八千詞表:主催団体のサイトの「參考詞表」で配布されているExcelの語彙表です。主催団体の説明資料によると、各語に注音・漢語拼音・品詞が付いています。準備級から基礎級までは、CEFRの主題による分類の順、進階級から流利級まではピンイン順に並んでいます。「精通級」の語は収録されていません。
- TBCL資源:主催団体は「TBCL資源」のページで、国家教育研究院の「華語文語料庫與標準體系整合應用系統」を紹介しています。各等級の言語能力を説明した「臺灣華語文能力基準」、漢字・語・文法項目の難易度を調べられる検索システム、入力した文章の語の等級や割合がわかる教材編集の補助システムなどがあります。
- 等級對照:主催団体の聴解・読解のページの「等級對照」には、TOCFLの級をCEFR・ACTFL・TBCLと並べた図と、中国語検定試験(中検)・TECCと並べた図があります。
級・レベルの選び方
- Band で申し込む:TOCFL日本事務局のQ&Aによると、申し込みはBand別に行います。Band ごとに試験問題が作られていて、結果によって、Band の中の2つのレベルのどちらかに分かれます。たとえばBand Aを受けた場合、入門級(Level 1)に合格するか基礎級(Level 2)に合格するかは、獲得したスコアで決まります。
- 主催団体の案内:主催団体は「適用對象」のページで、受験者は自分の学習の背景や力に合った等級を選んで申し込める、と案内しています。その目安が、上の学習時間と語彙量の表です。
- 台湾の大学に進学する場合:TOCFL日本事務局のQ&Aでは、必要なレベルは学校や学部によって違うと説明しています。入門級(A1)でも入学できる学部もあれば、C1が必要な学部(たとえば中国語に関係する学科)もあり、各大学が独自に入学基準を決めています。
- 定期的な受験:TOCFL日本事務局の「受験について」は、現在の実力や学習の成果を測るため、また今後の学習に役立てるために、定期的な受験を勧めています。
公式の練習の材料
模擬試験の入手先はTOCFLとはのページにあります。ここでは、主催団体のサイトにある、それ以外の公式の材料を書きます。
- 模擬試験(無料ダウンロード):主催団体のサイトの「模擬試題」のページで、聴解・読解の模擬試験の問題と音声を、無料でダウンロードできます。Band ごとの問題のPDF(繁体字版・簡体字版)、聴解の音声(オンラインで聞くか、ダウンロード)、答え、聴解のスクリプト、点数の対照表、答案カードの見本があります。Band A には、「中日版」も用意されています。主催団体は、模擬試題を題庫型に切り替えていて、紙の題本は今ある分のほかは当面追加しないとしています。
- 模擬試題詳解:進階高階級と流利精通級の模擬試験の一部について、解き方の方向と、正解になる理由を説明したPDFがあります。主催団体は、先に模擬試験を解いてから詳解を読むことを勧めています。
- 学習指南:主催団体が作った、進階高階級(Band B)の準備をする人向けの教材です。旅行、買い物、仕事、教育、日常生活などのテーマごとに、対話の理解や短文の読解、語彙の学習、問いへの回答、TOCFLの練習問題が入っています。PDFで、営利目的では使えないとされています。
- 題庫下載:日本の事務局は試験問題を非公開としていますが、主催団体は、準備級と入門級の正式な試験問題を題庫として公開しています。主催団体は、教育部の承認を得て適度に公開していると説明しています(聴解・読解)。問題の種類ごとのファイル、音声、問題の索引と答えが入っています。
- 紙の模擬試験集(有料):「模擬試題購買」のページで、「新版華語文能力測驗模擬試題」(入門基礎級・進階高階級・流利精通級の3冊、聴解CD付き)が案内されています。内容は実際の試験と同じ構成で、同じ試験がサイトでも公開されているとあります。TOCFL日本事務局の「問題集のご紹介」でも、模擬試題のシリーズが紹介されています。
- 主催団体の語彙教材:主催団体の「教材推薦」のページには、作者が國家華語測驗推動工作委員會の『趣學TOCFL入門詞彙』と『趣學TOCFL流利精通級詞彙』が載っています。
- 題型範例:聴解・読解のページの「題型範例」に、Band ごとの出題の例が載っています。
主催団体の「應考技巧」
主催団体の「應考技巧」のページでは、聴解と読解について、次のようなことを案内しています。
- 聴解:主催団体の「應考技巧」は、入門基礎級は各問2回、進階高階級と流利級は各問1回と説明しています(同じ主催団体の「題型範例」では、入門基礎級の第4部の対話は1回です)。選択肢を読み終えてから5秒の間に答えを選ぶので、選択肢を聞きながら問題冊子や画面の選択肢も見ることを、主催団体は勧めています。聞き直せないので、1問で迷いすぎないよう注意しています。流利級は、要点をメモすることを勧めていますが、一字一句書き取っても役に立たない、とも書いています。
- 読解:選択穴埋めでは、4つの選択肢を1つずつ文に入れて、文法と意味が合うかを確かめる方法を挙げています。文章はまず速く目を通してキーワードから話題をつかみ、次に問いと選択肢を見てから文章に戻ると、時間を節約できると説明しています。知らない語は、すぐに辞書を引かず、部首・字形・前後の文脈から推測してから確かめることを勧めています。時間の配分にも気をつけるよう案内しています。
出典
- TOCFL公式サイト(日本) TOCFLについて
- TOCFL公式サイト(日本) 受験について
- TOCFL公式サイト(日本) Q&A
- TOCFL公式サイト(日本) 問題集のご紹介
- 華語文能力測驗 聽力測驗 適用對象(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 聽力測驗 能力描述(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 聽力測驗 題型說明(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 聽力測驗 題型範例(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 聽力測驗 等級對照(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 閱讀測驗 能力描述(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 閱讀測驗 題型說明(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 閱讀測驗 題型範例(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 免費下載試題(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 模擬試題購買(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 學習指南(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 模擬試題詳解(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 題庫下載(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 參考詞表(主催団体・中国語)
- 華語八千詞表調整說明(主催団体・中国語・PDF)
- 華語文能力測驗 TBCL資源(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 TOCFL教材推薦(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 應考技巧 聽力測驗(主催団体・中国語)
- 華語文能力測驗 應考技巧 閱讀測驗(主催団体・中国語)