HSK(漢語水平考試)の勉強法とレベルの目安について、公式の案内にあることをまとめました。内容は、日本でHSKを実施しているHSK日本実施委員会と、HSKの試験本部(漢考国際)のサイトによるものです。公式が勧めていることは、誰が言っているかを付けて書いています。受験料・級ごとの合格点・試験の構成・HSK3.0との関係はHSKとはのページ、試験日と申込期間はHSKの日程のページ、申し込みと当日の流れはHSKを初めて受ける人への記事にまとめています。

試験で問われる力

HSK日本実施委員会の「各級の紹介」では、HSKは3つのパートからなると説明しています。聞き取りの力を測る試験、読解力を測る試験、中国語の作文力を測る試験です。1級と2級には、作文のパートがありません。各級のページには、パートごとの形式と問題内容が載っています。

筆記試験の各級で求められること

各級のページに「求められます」として書かれている内容を、要約します。

  • 1級:非常に簡単な単語とフレーズを理解・使用して、具体的なコミュニケーションができる。
  • 2級:身近な日常生活の話題について、簡単で直接的な交流ができる。
  • 3級:生活・学習・仕事などでの基本的なコミュニケーションができ、中国旅行でも大多数の場面で中国語で対応できる。
  • 4級:幅広い話題について中国語でコミュニケーションができ、中国語を母語とする人と流ちょうに話せる。
  • 5級:中国語の新聞や雑誌が読め、中国の映画やテレビも観賞でき、中国語でスピーチができる。
  • 6級:音声情報も文字情報も不自由なく理解でき、自分の意見や見解を、流暢な中国語で口頭や書面で表現できる。

筆記試験の聞き取り

  • 1級・2級:短いフレーズ・短文・短い会話を聞いて、写真の内容と合っているかを判断したり、合う写真を選んだりします。短文や会話の内容に関する問いに、3つの選択肢から答える問題もあります。
  • 3級:短い会話に合う写真を選ぶ問題、短文が問題用紙の文と一致するかを判断する問題、2人の会話(短いものとやや長いもの)に関する問いがあります。
  • 4級:短文が問題用紙の文と一致するかを判断する問題と、会話や短文の内容に関する問いがあります。内容に関する問いには、4つの選択肢から答えます。
  • 5級:2人の短い会話と、まとまった長さの会話や文を聞いて、内容に関する問いに4つの選択肢から答えます。
  • 6級:短文、2人の短い会話、まとまった長さの文(長文)を聞いて、内容に関する問いに4つの選択肢から答えます。

筆記試験の読解

  • 1級・2級:写真と単語、または2つの短文の内容が合っているかの判断、写真の選択、空所に単語を補う問題があります。1級には、質問文と返答を対応させる問題もあります。
  • 3級:関連のある文を組み合わせる問題、空所補充、短文の内容に関する問いがあります。
  • 4級:空所補充、3つの短文を並べ替えて正しい文にする問題、短文の内容に関する問いがあります。
  • 5級:空所補充、短文の内容に関する問い、長文読解があります。
  • 6級:語句や文法の誤りがある文を選ぶ問題、空所補充(単語の組み合わせを補う問題と、長文の空所に文を補う問題)、長文読解があります。

筆記試験の作文(3級〜6級)

  • 3級:語句を並べ替えて文を作る問題と、文の意味を理解して空所に当てはまる漢字を書く問題です。
  • 4級:語句の並べ替えと、写真と1つの単語が与えられて、その単語を使って写真の内容を表現する問題です。
  • 5級:語句の並べ替えと、単語を使った80字程度の文、写真に関する80字程度の文を書く問題です。
  • 6級:与えられた文章を読んで、400字程度で要約する問題です。

口試(HSKK)

口試は、全級とも録音方式です。各級のページでは、求められる力を次のように説明しています。

  • 初級:「日常話題を聞き取り、また表現することができ、基本的なコミュニケーションを行うことができる」。放送を聴いて復唱する問題、質問を聴いて端的に答える問題、問題用紙の2つの質問(ピンイン付き)に5文以上で答える問題があります。
  • 中級:「中国語を母語とする者と中国語で流暢にコミュニケーションをとることができる」。放送を聴いて復唱する問題、絵を見て話す問題、問題用紙の質問に答える問題があります。
  • 高級:「中国語で自分の意見や見解を流暢に表現することができる」。放送を聴いて内容を要約する問題、文章を朗読する問題、問題用紙の質問に答える問題があります。

7〜9級

7〜9級は、現在の6級より上の試験です。HSK日本実施委員会は、7〜9級について、中国の試験本部が発表した内容を載せています。それによると、聞く・話す・読む・書く・訳す力を重点的に測り、対応する話題・任務・文法と11000語の中国語単語、中華文化や中国の国情も考査の内容です。対象は、中国語を第二言語とする高いレベルの学習者で、中国の大学院に留学する学生、各国の中国語専攻の学生、中国語で学術研究や経済・文化・科学技術の交流を行う人などが挙げられています。試験は、聞き取り(放送は1回だけ)、読解、書写(図表を描写・分析する200字程度の文章と、話題について意見を述べて論じる600字程度の文章)、翻訳(筆記と口頭)、口語の5つのパートです。

レベルの目安

CEFRとの対応

HSK日本実施委員会の「世界標準CEFRとは」では、HSKはCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)と合致するよう設計されたと説明しています。現行の1〜6級について、対応は、1級がA1、2級がA2、3級がB1、4級がB2、5級がC1、6級がC2です。同じページには、3級はB1にあたるので、世界基準で見て中級者と分かる、という例が挙げられています。口試(HSKK)のCEFRとの対応は、このページに載っていません。

学習の目安

各級のページの「学習目安」には、次のように書かれています。語彙数の目安は、HSKとはのページにあります。

  • 1級:大学の第二外国語における第一年度前期の履修程度
  • 2級:大学の第二外国語における第一年度後期の履修程度
  • 3級:大学の第二外国語における第二年度前期の履修程度
  • 4級:大学の第二外国語における第二年度後期の履修程度
  • 5級:主に週2〜4回の授業を2年間以上習い、2,500語程度の常用単語を習得している人が対象
  • 6級:主に5,000語かそれ以上の常用単語を習得している人が対象
  • 口試 初級:主に週に2〜3回の授業を、半年(1学期)〜1年(2学期)程度受けた人が対象
  • 口試 中級:主に週に2〜3回の授業を、1〜2年程度受けた人が対象
  • 口試 高級:主に週に2〜3回の授業を、2年間以上受けた人が対象

各級のページに載っているのは語彙の数の目安で、単語の一覧ではありません。

改訂版HSK3.0の公式資料

この節の資料は、改訂版(HSK3.0)のものです。HSK日本実施委員会は、日本で今行っている試験は現行のHSKで、改訂版の導入の時期は決まりしだい知らせるとしています。日本での実施の予定は、HSKとはのページにまとめています。HSKの試験本部(漢考国際)の「中文考试服务网」(chinesetest.cn)には、HSK3.0の資料として、試験大綱(Examination Syllabus)、サンプル問題(Sample Questions)、能力描述(Competency Profile)が置かれていて、体験用のページ(Try HSK 3.0)への入口もあります。

  • 改訂版の枠組み:英語のページでは、改訂版を「三段階九級(Three Stages, Nine Levels)」とし、聞く・話す・読む・書く、上の級では訳す力まで、5つの技能を測ると説明しています。
  • 試験大綱(PDF):主催団体の中外语言交流合作中心が発行した、中国語(簡体字)の文書です。任務・話題・語彙・漢字・文法の5つの大綱が、級ごとに載っています。漢字の大綱は、読める字(認読字)と書ける字(書写字)に分かれています。書写字は1〜9級をまとめた1つの表です。
  • 能力描述(PDF):1級から9級まで、各級の能力を1文ずつ説明した1ページの文書です。
  • サンプル問題(ZIP):中文考试服务网(chinesetest.cn)のHSKのページからリンクされています。1〜6級と7〜9級の見本の問題(PDF)、解答、聞き取りの音声が入っています。3〜6級には、口語の見本(問題のPDFと音声)も入っています。

級の選び方

HSK日本実施委員会のQ&Aでは、国籍の制限はなく、何級からでも受験できると案内しています。級については「問題例をご参照の上、適切な級を受験してください」としています。合格した級をもう一度受けることもでき、筆記と口試は独立した試験なので、同時に受ける必要はありません。申し込みの詳しいことはHSKを初めて受ける人への記事にあります。

  • レベルチェックテスト:委員会のサイトにある、無料のオンラインテストです。級別にサンプル問題を集めたもので、委員会は「ご自身の現在の学習レベルの確認や受験級の決定にご利用下さい」と案内しています。聞き取り問題は含まれません。また、実際の得点を保証するものではないとされています。
  • 就職・留学に必要な級:Q&Aでは、企業や大学によって求めるレベルが異なるので、成績の提出先に直接問い合わせるよう案内しています。

公式の練習の材料

  • 各級の問題例:筆記1〜6級の各ページに、実際の問題例の一部が画像で載っています。サイトで誰でも見られます。
  • レベルチェックテスト:上で書いた、無料のオンラインテストです。
  • 公式の教材:委員会の「教材について」のページで、公式過去問集(日本語版)と公認テキストが紹介されています。委員会のQ&Aは、公式過去問集や公認テキストなどの対策本が出版されていると案内しています。過去問集の入手先はHSKとはのページにあります。

出典